●文部省標準より20%増の授業時間を確保、中学受験に万全を 期す
-- 一方では、中学受験のための学力をつけてほしいというのが親の本音です。その辺、どうバランスをとりますか。
原 小学校教育の基本は基礎学力をつけることです。将来大きく伸びるかどうかは、小学校時代の基礎学力次第といっても過言ではないと思います。先ほど、かつての教え子からきた手紙を紹介しましたが、この子は、小学校時代に自分で考えたり、調べたり、実際にやってみたことが、高校受験に役に立ったと書いてありました。やはり豊かな情操教育が、学力を確かなものにする前提だと思います。学力だけが伸びればいいというものではないし、情操だけでいいというわけにもいかない。両方をバランスよく身につけさせる。そのためにも有名中学に何人合格したとか、今年はうまくいかなかったなど、目先にとらわれてはいけないと思いますね。とにかく、小学校6年間は学力だけでなく、心と体をつくらなければいけない時期なんだということをご両親には知っていただきたいのです。
ただ、ゆとり教育の導入によって学力低下を心配する親御さんの気持ちもわかります。このため文部省標準による6年間の総授業時間は5367時間ですが、本校では6545時間と1178時間、20%も学習時間を多く確保しています。月のうち隔週2回の土曜日は授業にあてていますが、徹底した学習指導が可能となります。また、6年生3学期の1月は、中学入試に向けて必要な科目(国語・社会・算数・理科)に集中して学習させ、中学入試に備えさせています。
--ところで、こちらでは、英語教育にも熱心に取り組んでいますね。
原 ええ、創立当初から、外国人教師を招いて英語の授業を行なっています。77年前、本学の創立者は、いずれ日本人は世界の中で生きていかなければならない、そのためには英語教育が必要だと考えたと思うのですが、まさに先見の明があったと思います。また、今年で5年目になりますが、4、5、6年の希望者だけ、毎年20人前後ですが、オーストラリアでホームスティさせています。往復10日間の体験ですが、この時期の子どもというのは、帰ってきたときには一回りも二周りも大きくなっています。
--オーストラリアのホームスティや山村の農業体験には、いろいろなリスクがありますね。トラブルや事故が心配ではないですか。
原 むろん大切なお子さんを預かっているんですから、事前の調査・準備には万全を期していますが、100%安心というわけではありません。もし何かあったら、私の首が飛ぶだけではすみません。しかし、いろいろ心配していたら何もできません。うちの学校を選んで来ていただいているんですから、とにかく充実した6年間を送ってほしい。そういう信念で子ども達を育てていきたいと考えています。
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