小学校受験で重要な集団行動について

1.最近のお試験の傾向 ペーパー重視校と言われる学校であっても、試験に「集団行動」のない学校を探すことは難しくなり、年々、試験における比重が高まっています。また、お母様方が考えるよりも配点がかなり高く、「ペーパーはかなり出来たのに、合格がもらえなかった。」との声は、良くある話です。それは、お勉強は出来るけれど、他の子どもたちと協調できない子どもが増えているからだと存じます。  入学後、学校は学習面を伸ばすことは命題なのです。しかし、問題児を抱えれば、大変です。「何かあれば学校も責任問題が発生します。そしてそれは学校の存続問題にも波及しないとは言えません。試験で厳しく見極めるのは当然なのです。

2.学校によって違う集団行動の内容 学校によって、それぞれ教育方針が違います。
どのような子どもが望ましいのか、それは「集団行動」の中身でわかります。
大きく3つに分けて説明を致します。

3.「国立学園・成蹊・桐朋」の集団行動について。

まずAbilityひとみ幼児教室の最も得意とする「国立学園・成蹊・桐朋」の集団行動を説明します。それは、一つの課題を与え、話し合いをさせ、一緒に作業をやらせていきます。その中で「リーダー的な存在感を備える子ども」を見つけていきます。その中でリーダーとは「仕切る・命令する」のではなく、「相手を認め、自分が何をすべきか、みんなのために客観的に考えられる子ども」なのです。それを指導することはとても難しく、しっかりしている子どもはどうしても、「命令的」になってしまい、成蹊や桐朋から最も嫌われる子ども、となってしまいます。それは「合格」どころが「失格」を意味します。その指導方法は後ほど、詳しくご説明致します。

4.細かく指示を与える集団行動の学校(女子校に多い)

次に一人一人が指示通りに丁寧に早く作品が出来るなど、言われた事を正確にこなせる能力を見ます。また他の子どもと道具を共有出来る能力なども見ています。巧緻性の内容もかなり取り入れて、工作をさせたり、それを使って遊ばせたりして見るのです。課題の出来栄えは勿論、それに取り組む姿勢、楽しんで行う姿勢、諦めないで最後までやり続ける姿勢も評価の対象になります。


5.自由に遊ばせる学校

  最後に遊具を出しておいて、「自由に遊びなさい。」と言ってそれぞれの子どもたちの行動を見る学校です。一見指示がないので、簡単そうですが、実は子どもが持っている本来の姿が見えてしまいます。
まず、遊びをころころ変えていれば、集中力がない。お友達と声をかけて譲り合うなどが出来るか、知らないお友達とも仲良く遊べるか、遊具の使い方、片づけ方でも「家庭での躾」がわかります。指示がないので、緊張感も薄れ、休み時間の感覚です。夢中になってしまえば、「貸して」と言われても、つい無視してしまったり、聞こえないふりをしてしまったり。意外な子どもたちが、陥ってしまう落とし穴なのです。普段の幼稚園での生活・家庭の生活が自然に全部出てしまうのです。

 このように子どもの性格、育ちまでが浮き彫りになる「集団行動」。 お母様方が願書に書かれる「優しい子、思いやりのある子、躾の出来ている子、誰とでも仲良く遊べる子」などと自画自賛なさっていても、現実は厳しく、瞬時に本当の姿を見抜かれてしまうのです。 「小学校受験」とは、この5年間のご家庭でおこなってきた生活・教育を試されているのです。お教室に通って安心していては、駄目なのです。真剣に子どもと向かい、取り組まなければ、「合格」という吉報は届かないと言うことがこの「集団行動」からも、ご理解頂けると存じます。


6.ペーパーは足切りとして。

 過去に、暁小学校の元校長先生が「1次は足切り、2次は一次の点数に加算せず、また一から順位を決める。」とおっしゃっておりました。また、洗足の小学校は「ペーパーの合格者の2割をこの集団行動で落としている。」とはっきりおっしゃっていました。つまりペーパーの問題は簡単ですが、それは単なる足切り、後は人間性で取るということにほかならないのです。


7.Abilityひとみ幼児教室での指導方法

 教室では9月・10月は授業後「集団行動」という授業を通常授業の後に入れて、徹底的に指導しております。 勿論、上記で述べた3つのパターンを行うことは当然ですが、中でも一番難しい「国立学園・成蹊・桐朋」の集団行動には時間をかけて取り組みます。

「リーダーになるということ。」はどういうことか。発言も何をいつ、どのようなタイミングで言えば良いのか。場面場面で「ストップ!さあ前に集まって!」と中断し、その都度教えていくのです。「何がいけなかったのか。どう言えばもっと良かったのか」その場で的確に教えて行くのです。

例えば、どういうタイミングで「ジャンケン」を言い出すのか。一度決めたことを翻すような子どもの対処法まで、場面ごとに丁寧に教えていきます。最近面白いことに気が付きました。ジャンケンをするのですが、自分が勝ちたい時に、負けてしまったら、「負けた人がやれるんだよ。いつもじゃんけんはそうだもの。」と言った子がいました。確かにジャンケンは負けたり勝ったり、その都度ルールが違います。混乱をする子もいてもおかしくないのです。ごまかそうという意志があったかも知れません。そこでジャンケンのルールをもう一度教え、もし疑問に思ったら、必ずジャンケンの前に「勝った人が出来るんだよね。」と声をかけるように伝えています。


8.心を育てる

 でも一番困るのは何も言わない子どもです。私は「何も言わないと、参加しないとね、そこに○○ちゃんが居ないことと同じになってしまうのよ。嫌でしょう?先生は寂しいなぁ。」と伝えます。 言えない子にも色々あります。

1.考えてなくて言えない子。
2.本当は言えるのに勇気がなくて言い出せない子。
3.失敗が怖くて言えない子などと、
それぞれ違うのです。

 当然対処方法も同じではないのです。 私は子どもたちを「幸せにしたい!」という強い気持ちでこの教室を創りました。それは「合格させたい、泣かせたくない」という事は勿論ですが、一生を通して、「この人に会えて本当に良かった」と思ってもらえる人間が、ある意味一番幸せなのだと信じているところがあります。他人から愛されたり、認められたりすることで、自信を持てたり、輝けたりと、自分の存在価値そのものが高まるような気がするからです。 だからおとなしくても、良いのです。きちんと自分の意志を持ち、少しでも自分の意志を表現させたいと考えているのです。そうでなければ、人と分かり合うことは出来ないからです。だからこそ、心から育てていかなくてはならないのです。

 存在価値にこだわる教室なんておかしいかも知れません。でも「目がきらきら輝いている子ども」に育てたい!それは自分に自信を持ち、自分の言いたいことをはつらつと発言し、人の気持ちも聞き入れ、みんなで行動出来る能力を育てることだと信じています。そしてそれが現代の協調性なのだと考えています。ただみんなと同じ事をする、先生の言う事を聞くという日本の古い協調性の時代は終わったのだと思います。 21世紀の子どもたち、世界で活躍する子どもたちを育てる為に、個性と協調性を育てたい。その基礎となる幼児教育においての集団行動の意味はとても大きいと存じます。

室長山田ひとみ