なぜ私学を選ぶのですか?
【中学受験の意味】

私立中学受験を我が子にさせようと考えてこのサイトへたどり着いた方々は、なぜ私学を選ぼうと考えたのだろうか。「ゆとり教育」への不満?公立中学に対する漠然とした不安に対する答えなのだろうか。

 

私がこれまで見てきた限りでは、多くの保護者は長くて入試の前後2〜3年しか考えていないように思う。いや6年後の大学進学も視野に入れているという反論があるかも知れない。

 

しかし、その進学実績も「昨年」や「一昨年」という過去のものだということを忘れてはいないだろうか。「6年後にどうなるか」を考えたわけではないだろう。

 

実は大学入試は大きな曲がり角にさしかかっている。従来予測で2009年頃大学・短大全入時代がやってくると言われていたが、2007年に早まることが確実になってきた。

 

大学も人気があり多くの志望者を集める一部と、そうでない多くの大学に2極化するであろう。後者は定員割れとなり、破綻する大学も出てくると言われている。大学入試のための中学受験は過去のものになるかも知れない。

 

おそらく中学受験はよりよいスクールライフを思春期に送ることが主要な目的になるだろう。そうすれば自然と学校選択の基準が大学進学実績以外の教育内容に移るに違いない。

公立中学校の現状

大学全入時代がやってくるなら公立中→公立校→大学というルートでもいいではないか。一面では確かにその通りである。公立高校のトップ校はその方向の選択肢を目指している。優秀な生徒が集まる学校では推薦入試で一流私大へ進学することも可能だろう。

 

反面地元の中学に選択の余地がなかったらどうだろうか。例えば教育困難校と言われる以下のような状況の中学だったとしたら。

 

・授業中に暴言を吐き他の生徒の学習を妨げる。

・二人担任制とは名ばかりで一人は生徒が逃げ出さないように見張る。

・エスケープは日常茶飯事。

・欠席しても連絡がなく、生徒の安否確認に教師が時間を費やされる。

【学校を選ぶ確かな目】

先に述べたようにブランドや大学進学率だけで中学を選ぶ時代は終わった。有名中学を出て一流大学へ進学しても問題を起こす若者がいる時代だ。全人的な教育が再評価されてきている。

 

学校が生徒をどのような人材に育て上げたいと考えているかをしっかり読み取って、各家庭の教育方針にあった学校を選択する目を養うべきだ。そのためには塾に進路を丸投げせず、我が子の優れた点をしっかり伝え、そこを伸ばす教育をしてくれる学校を選びたい。

 

経営の神様ドラッカーも「弱みをなくすことにエネルギー(=時間・費用・努力)を注ぐより、強みを活かすことにエネルギーを注がねばならない。」と書いている。

 

人の弱みは誰でもすぐ指摘できます。しかしそれを直すために注ぐエネルギーと犠牲は膨大です。そうであれば『「強みの発揮の妨げにならないものなら、弱みは関係のないものとして「無視しなければならない」』ということだ。

 

そんな目で学校案内をながめると、あまり知られていないが味のある教育をしている学校に気づくはず。例え偏差値が高くなくとも、そういう学校を志望校からはずさないで欲しい。そこが最後の砦になるかも知れないのだから。

【良い習慣をつける】

一流のスポーツ選手は例外なく練習の虫だ。ヤンキースの松井秀喜選手は「練習は嫌いだ。だがそれを超えなければ成長しないので、自分は練習をする。」と言っている。繰り返し練習することで「習慣」になる。

 

すると歯磨きをしないで寝ると気持ち悪いのと同じように、毎日予習・復習しないと気が済まなくなるのだ。これは小学生低学年の内に身につけたい。

 

以上のように小学校低学年から家庭学習の習慣をつけて得意科目を伸ばし、それが偏差値60を超えているようにできれば、受験勉強を開始するに当たってどんなに強みになるかお判りになるだろう。

 

もちろん、いつ始めても遅すぎることはない。習慣になるまでに時間が余計にかかるだけのことだ。小学校全学年、中学生、高校生から大学生、社会人まで通用する真理のはず。

 

中学受験の最終目的は大学入試ではない。今一度、みなさんそれぞれのご家庭で最終目標を話し合って、志望校決定していただけたらと思う。

e-お受験 黒田官兵衛筆
文責 木下 健藏