附属小での家庭学習・後編

前編では
・規則正しい習慣を身につけ
・子どもの意欲を育て
・セルフコントロールができるようにする
ということを書いた。こうなれば遊びたいのを我慢して勉強することができるようになる。

中学受験しようがしまいが大事なのは「勉強グセ」をつけること。受験のためにガンガンやらせて合格しても、中学入学後に「燃え尽き症候群(バーン・アウト)」と呼ばれる無気力な状態になったり、反動で遊びグセがついたりしては元も子もない。

高校、大学を通じて勉強の習慣ができていれば自分の進みたい道へ向かうことができる。社会人になっても必要に迫られて短期間にある分野の勉強をしなくてはならないことも多々ある。このように将来ずっと役に立つのが勉強グセだ。

では附属小学校の生徒がどのような家庭学習をしたら良いのか考えてみよう。

【授業をしっかり聞く】

予習というのも入れようかと思ったが考え直した。というのは、「授業を集中して聞く」というのが第一番に重要だからだ。私立小では専科の先生も多く、内容の濃い授業が行われる。その授業の内容をしっかり理解するようにしたい。

ただ不得意科目に関しては予習をして、授業の理解を助けるということをするのは遠慮せずどんどんやって欲しい。

ノートもきっちり取りたいが、ノートに気を取られて先生の話が上の空にならないようにしたい。優先すべきは話しを聞くこと。ノートのまとめは後でもできる。最近の子どもはカラフルなノートを作ることに夢中になってしまいがち。3色ボールペンで十分だ。


【授業の復習】

授業をしっかり聞いたら忘れないうちに復習したい。もちろんすべての教科で復習が必要なわけではない。授業中に理解できてしまえば復習は不要だ。ノートの不足は教科書や教材を利用して埋める。

算数のように問題練習が必要な科目は、授業に相当する問題練習をしっかりしたい。学校の教材に添って授業中にやりきれなかった問題は家で終える。配布されたプリント類はやり残しのないようにする。

練習問題の量が十分でないと感じるようなら、市販の教材で補うのも良いが子どもの負担にならないように注意するべき。検定教科書と学校の授業では進度・内容が異なっていることがあるから注意したい。

多くの私立小学校では学期単位、あるいは年間の授業計画が配布される。それをどこかに貼っておくとよい。子どもが今どこの単元を学習しているのかが把握できる。

【宿題】

低学年はともかくとして、中学年ともなると大量の宿題が出される学校もある。例として
・作文 1つのテーマにつき800字程度
・漢字ドリル
・プリント2〜3枚
・理科実験ノート提出
・社会白地図完成
など。毎日1時間程度の量を出す学校があり、これは学校が「勉強グセ」をつけさしようとしてくれているので、それに乗っかっていけばよい。一方まったく宿題のない学校もある。この場合は自分で学習する習慣をつけなさいというスタンスだと解釈すべき。

【通信教育】

中学入学組のある学校では中入生の学力を脅威に感じて四谷大塚や日能研の市販教材を家庭でやらせている親も多い。時間に余裕があればこれも有効だと考える。

ただし、中学受験するわけではないので基本問題と難問でない応用問題レベルまででいいだろう。特に算数はそう。レベルA,B,CとあればレベルAとBの頻出問題・典型問題で十分だ。他の教科も基本問題を中心に学習する。

漢字検定や数学検定を受けるというのも効果的。学年に関係なく段階を上がっていくことができ、励みになるし学力向上につながる。学校で受けるシステムになっているなら、ぜひ受験するようにしたい。

ここで言う家庭学習は、あくまで学校の宿題等では学習量が不足すると考えられる場合で、しっかり勉強させる学校であれば宿題をしっかりやれば十分のはず。やらせすぎないように注意しよう。学校の成績で中位以上をキープするのはそれで可能なはず。

もちろん将来系列大学の医学部にどうしても進んで欲しいというのなら、それなりのやり方が必要だ。でも本人の資質や向き不向きもあるので、小学校の内からガンガンやらせなくても良いように思う

【各種教材】

よく使われる教材を紹介しておく。

■通信添削
○知の翼(日能研)http://www.nichinoken.co.jp/wing/
○リトルくらぶ・通信くらぶ(四谷大塚)
http://www.yotsuya-otsuka.co.jp/123tsushin/index.html
○ピグマキッズくらぶ(サピックス)http://www.sapientica.com/pigma/index.html
○ドラゼミ(小学館)http://www.dorazemi.com/
○Z会小学生コース(増進会出版社)http://www.zkai.co.jp/home/
○進研ゼミ小学講座(ベネッセ)http://www.benesse.co.jp/s/index.shtml

【問題集】
成長する思考力(学林舎)http://www.gakurin.co.jp/
最レベ問題集(奨学社)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4882479117/249-7877400-1789102

はなまるリトル(四谷大塚)http://www.yotsuya-otsuka.co.jp/kyozai/
ぴぐまりおん(サピックス小学部)http://www.sapientica.com/pigma/index.html
ニューマイティー(学研)http://www.gakken.co.jp/kyouikusystem/nmgakken/
中学への算数(東京出版)http://www.tokyo-s.jp/products/s_zoukan/index.html
【塾・家庭教師】

中学受験しないのだから基本的には不要と考える。小学生の内は親が見てやれない内容ではないはず。ただ時間が取れないとか算数や理科は苦手で面倒見られないというのであれば、受験塾でない通学の負担の少ない近所の塾や個別指導を考えても良い。また家庭教師に分からないところを見てもらうという方法もあるだろう。

ただ子どもの疑問はその場で解決してやった方がよいので、1週間分まとめてチェックとなると忘れてしまって効率が悪いのではないか。できるだけ親がその場で面倒見てやるようにしたい。

【体験学習】

せっかく私立小学校に通っているのだから、机上の勉強だけでなく様々な体験を通して色々なことを学ぶのも重要。「体験学習」と言っているが「遊び」と言い替えても良い。ただし、享楽的な遊びではなく「創意工夫が必要な何か」「自然とインタラクティブな何か」「人と交流する何か」など、自分の世界を広げてサムシング・ニューを知ることができる遊びをどんどんさせたらいい。

スポーツや芸術も普通は受験で中断してしまうが、小学校高学年でも続けられるから大きく伸びるはず。そういう点では中学受験組よりもアドバンテージがある。

社会に出て役に立つのは学力だけでなく「人間力」とでもいうか総合力なのだから。その手本として皇室を見てみると良い。グローバルな人材の素養にどんなものが必要か分かる。

・語学力
・知性(アカデミックな専門分野を持つ)
・芸術
・スポーツ
・ボランティア活動

「知情意」+徳を兼ね備えた人物ということだ。日本人は仕事以外の話ができないと言う時代は終わった。多くの私学は以前から情操教育に力を入れてきた。そこにはグローバルな人材を育てるという視点があるはず。それができる私学のメリットを大いに活かしていただきたい。

e-お受験 黒田官兵衛筆
文責 木下 健藏