さて私立小に進ませる意義は大体理解されたと思いますが、そろそろ合格する子供について述べなければならないと思います。幼稚園ってどんな試験をするの?とよく聞かれますが、小学校受験でも似たりよったりです。私立・国立出身者でもその記憶は断片的にしかありませんから、結局は準備を始めて、徐々に理解していくしか無いわけです。その内容については後で述べることにして、一言で「合格する子供」を説明するとしたら、「自分の力で要求を理解し何をすべきか判断した後、適切な行動がとれる子供」と言えるでしょう。色々な能力を持った子供がいますから、偏った分野だけ出題すると、目立つ子供、記憶に残る子供を見つける事は出来なくなります。
各学校はいろいろな分野から考査を行うことで、目を皿のようにして欲しい子供を見つけ出します。大きく分けると@知力や思考力を重視する小学校A行動面や社会性を重視する小学校Bその両方をバランス良く見る小学校の三つのパターンがあります。幼稚舎なら30〜40人の中で光る子供を一人、行動観察分野だけで見つけ出す作業をしています。青山学院なら一日を行動観察、もう一日を個別テストの形式で知力や思考力などを観察する考査で、7〜8人の中で光る子供を一人見つけ出す作業をしているわけです。暁星の一次はペーパーテストだけを行い約二倍のところまで子供を絞り、二次に進みます。だからと言って、一校しか受験しない方はいませんから、結局のところ全分野の準備が必要になってしまいます。
もうひとつの視点から考えましょう。小学校受験には面接の有無という親にとっては悩みの種があります。面接の有る学校は、親を財産として重視するために面接で協力者たる親を選抜したいと考えます。但し、それにも二種類あって青山学院や立教のようなプロテスタント系の学校のように親が度々学校の現場に足を運ぶような積極的な協力を望む小学校もあれば、カソリック系のように親の器の大きさや、この学校の伝統を守れる親としてのたたずまいを望む小学校があります。どちらに合うかはよく考えれば判断できるはずなのですが、なかなか親にはできないものなのです。それで結局名前や、距離の遠近や共学かどうか、宗教の有無などの理由で選択することになるのです。
私たちは一度ゆっくりご両親にお話を伺えばどちらのタイプかは完璧にわかりますが、相手は大人ですから、なかなか考え方を柔軟にしてご理解頂くのは難しいものです。一方面接の無い小学校は幼稚舎のように受験者数が多い為に物理的に面接のできない学校もありますが、子供の姿から親を想像するという方法に徹していると言えます。子や親の鏡といいますから間違った方法ではありませんが、後でお互いに後悔する例もあるようです。 |